ゆく河の流れは絶えずして。The flow of the river is ceaseless and its water is never the same.

毎日毎日暑いったらありゃしないですが、岐阜で気温40度超えとかすごいですね。これって気象台が設定した観測地点での気温なのでアスファルト上の体感気温はさらにUP! 今年は夏が長いから、今から秋の釣りが楽しみだな〜。その前に自分が干上がらないようにしないとと思っている男、saltwater-ffです。こんばんは。

まぁ、7月もようやく後半戦に入ってきましたが、8月、9月とロングなサマーが続くわけで今年の夏は色々遊び尽くせそうです。夏といえばクロダイのフライフィッシングと同じくらい大好きなフローターフィッシングのベストシーズンでもあるので、あちこちで漕ぎだしに行きたいんですが……先日残念なお知らせが舞い込んできました。私の愛艇、ZF178Uの販売元であるゼファーボート(京都市)が7月いっぱいで廃業を決定したとのこと。(リンク先参照)

これまでフローターは3艇乗り継いできましたが、最初はあまりのでかさに「大げさすぎるなぁ……」と戸惑うこともありました。しかしシートポジションがだいたい決まってきて、自分の釣りに合うようアレンジできてくると、大型フローターならではの抜群の安定感と、エレキ搭載可能という機動性は代えがたいものとなりました。

フローターならではの静寂性はそのままに、積載性、機動性を確保した名艇だと思います。エレキ+バッテリーを積んで、なおかつ体重が鶴竜より重い私が乗ってもビクともしないのはスゴいです。

ゼファーボート廃業後のパーツ類の供給や補修がどうなるのかは、残念ながらあまり期待できないと思います。もともとフローター好きな方であれば、ある程度はDIYでクリアしてきていると思うのですが、安全性に関わる部分についてのDIYは自己責任と割り切るしかないのが現状でしょうね。

同業他社からもフローターは販売されていますが、ゼファーボートの特徴として、割と積極的にニッチなニーズに応えてくれていたので、まったく同様のものを……と望むのは難しいかもしれませんね。

もちろんこんな話はゼファーボートに始まった話ではありません。ルアー・フライ関係に限定して書きますが、数年前にはUFMウエダが廃業、ダイコーが釣竿製造事業から撤退、コータックも廃業。最近だとオフト、ザウルストレインが廃業、プロショップサワダが惜しまれつつ閉店しました。

オフトの廃業は個人的にかなりの衝撃でした。大阪フィッシングタックルの略称、OFTは私が関西出身者ということもあり、それこそバスフィッシングに夢中になっていた中学生の頃にはカタログを貪り読むブランドのひとつでした。当時から憧れの的だったヘドンやバグリーのルアーが数多く掲載されているのはもちろん、マンズやミスターツイスターのラインナップから必死でワームのカラー名を覚えようとしたり。後にハマるフライフィッシングのツールやマテリアルでも、オフト製品には大変お世話になりました。近年ではピシーズという釣り小物のシリーズもかゆいところに手が届く&お値打ち価格で、特に幅広メジャーと水温計はいくつ買ったかわかりません(定期的に紛失してました)。

ところ変わってアメリカでも一時期ルアー・フライメーカーの廃業、撤退が相次ぎました。ただ、ビジネス慣習の違い(?)からか、ファンドが何社かの事業を買って統合したり、超大手釣り具関連企業が自社ブランドのひとつとして傘下に加えたりと、日本のそれとは少し違っています。ピュア・フィッシングやバスプロショップス、プラドコあたりがその際たる例でしょうか。20年以上前を知るおっさんとしては、ハーディもペンも今や同じ会社のいちブランドってのがミョーな気分です。

一方で大手に組み入れられることなく廃業になるケースもあります。日本でもおなじみのアンクルジョッシュは、90年以上(93年間?)もポークリンドを製造販売し続けてきましたが、残念ながら2015年で廃業。まぁアメリカではほとんど使われなくなっていたし、主な消費国の日本でも需要が減りつつあったので致し方ないのだと思います。そいえばアンクルジョッシュもオフトで取り扱ってましたね。

 

日本でもちょっと前にはリョービ(の釣り具事業部門)やNFTが大手傘下に吸収されてブランド名を残した例がありますが、最近ではこういった話をほとんど聞かなくなりました。単純に吸収する側も疲弊しているのだと思います。

ちょっと話がそれますが、ヘドンやレーベル(レベル)、アーボガストがプラドコに吸収されたことで「昔の方が良かった」という方がいますが、私は果たしてそうだろうか、といつも思います。もちろん品質が変化したり、廃盤になったモノもあります。ただそれは元々のメーカーが独立独歩でやっていた頃にもあったわけですし、一概にプラドコ傘下になったことが原因とは言い難いのではないでしょうか。レーベルにおいては最初からプラドコ製なわけですし、時代や市場に合わせて変化していくのは必然だと思います。

それよりも独立独歩で立ち行かなくなった結果、それまで培ってきた伝統や信頼や技術といったお金に換算しにくいモノをすべて失ってしまうことの方が、大局的に見て大きな損失ではないでしょうか。

できることなら、オリジナルザラスプークはずっとオリジナルザラスプークのままであって欲しいですし、明日バス釣りを始める少年が気軽に買える価格帯であって欲しいと思います。そんな当たり前のようなことを続ける大切さについて、あらためて考えさせられました。

よいしょっと話を戻しまして。ご存じの方も多いと思いますが、私が4年間携わっていた釣り雑誌が3カ月ほど前に休刊になりました。右肩下がりの斜陽産業といわれ続ける出版業界において、20年以上も続いた月刊誌が休刊するという事実は、ずっしりと重みを感じるものでした。

雑誌の休刊自体は珍しいことではありません。私もこれまでの編集者人生において何度か経験しているので、そういうものだとある種の割り切りというか、諸般の事情もあり仕方のないことと受け止めています。同時に己の力が及ばなかった事実を受け入れて反省しています。それでも、なくなってしまって気づくことというのは少なからずあるわけで……。すみません、根っこはセンチメンタル野郎なもので。

まぁこの件について書くのはまた別の機会にして、今日は有名な『方丈記』の冒頭とキューバに伝わる名言を書き記して終わりたいと思います。

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。 淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。 世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

The flow of the river is ceaseless and its water is never the same. while along the still pools foam floats. now vanishing, now forming, never staying long. So it is with people and all their dwelling places here on earth.

 

「人生は短い。しかし行動が人生を永遠にする」(キューバの名言)

 

やはり我々は急ぐしかないようです。悠々として!
それでは、また。