昭和の家電的リールが最高すぎる件。The old appliances are the supreme.

はい。生きてりゃいろいろあるけれど、今年に入ってからいろいろありすぎるくらい「あり!?」ってな声が出ちゃうような事ばかりで、ありよりのありかありよりのなしか論法でいうと、たぶんなしよりのありな男、saltwater-ffです。こんばんは。「ま?」とか「り」とか、最近はコミュニケーションが短縮されてて、初老のおっさんは対応に慌ててしまいますよ。

さてと。ここんとこフライ関係の記事が続いてますが、すみません。今回も海用フライリールの話です。

先日開催された「海フライリールのゆうべ」にお邪魔した際、私が持参した2台のリール。1台はハーディのオーシャンプリンス・ワンという、まぁハーディのフライリールの中ではマイナーだけど質実剛健な海用フライリール。そしてもう1台が廉価の良品かつ庶民の味方、フルーガーのシュプリームでした。

今回はそのフルーガー ・シュプリームを愛でてみたいと思います。←リール愛好会っぽいフレーズ勝手に使ってすみません、たかちん総帥。

知ってる人は知っている、でも知らない人はまったく知らないという、フルーガー ・シュプリーム(以下、シュプリーム)。フィン・ノールやシーマスター、カチーノ、バンスタール、J・サラシオーネ、HT・チッタムといった綺羅星のごとく輝く海フライリール達には敵いませんが、シュプリームは、誰でも購入しやすいリーズナブルな価格、部品入手の容易さ、壊れてもすぐに替えがきく(買える)、そこそこ頑丈で使いやすいという、庶民(?)には重宝される存在だったように思います。

一見して分かるように、フレーム&ピラーはフルーガー ・メダリストと同じ構造とし、スプールおよび内部機構をアレンジしてあります。中央部の三つ又のネジはドラグ調整用で、本来は中央部にシュプリームのロゴが入ったエンブレムというか、シールが貼られているのですが、剥がれてしまっている個体が多いようです。

スプール部分はアルミ製で、チープなマット仕上げというか、昭和中期ごろの家電製品によく見られた風合いに近いです。このなんとも言えない風合いと、ブラック&マットシルバーなコントラストを私は気に入っています。

リール裏面に目をやると、もう完全にメダリストしてますよね。ちょっと違うのは右側の黒いレバーと左側のガード付きのボタンのようなもの。

黒いレバーはスプールの逆転をロックするためのもので、オンかオフのみ。つまりドラグ的に使える装置ではありません。あー、書き忘れていましたがシュプリームはアンチリバース機構のフライリールです。なので通常であれば表面の三つ又ドラグネジを締めてドラグを調整するわけですが、完全にスプールを逆回転させたくない場合(たとえば根掛かりを外す時など)はこの黒レバーでロックしていたのだと思います。
そして左側の銀色のボタンのようなもの。メダリストなら、ここにはクリック調整のダイヤルが付いていますが、シュプリームではスプール脱着の抑えとして機能しています。表面の三つ又ドラグネジを完全に外した後に、この銀色のボタンを引くとスプールが外れ、押し込むとスプールが留まる。実に単純明快です。

かなりコンディションがいいシュプリームの画像を見つけたのであげておきます(写真はStriper.comより拝借)。シュプリームはNo.577とNo.578の2サイズあり、番手でいうと#8と#10って感じでしょうか。フライフィッシングだけでなく、ムーチング等でも使われることがあったようです。

こちらもStriper.comより拝借した、シュプリームの取説の画像です。You don’t pay for what you get.というキャッチフレーズは、日本語だと某家具販売チェーンの「お、値段以上!」みたいな感じでしょうか。

スプールを外すと中身はこんだけ。実にシンプルというか、安いなりに頑張っているというかです。使われているのはネジ、板バネ、金具の3種類だけ。「こまけぇこたぁいいんだよ!」っていう設計者の声が聞こえてきそうですね。

ただスプール側のギアだけは頑張っていて、硬めの鋼材(と思われる)で2種類のギアを作り、組み合わせています。本当はこのギアとメインシャフトも分解できるんですが、Cクリップ(留め金)を外すツールを持ってくるのを忘れたので外せなーい!(すみません)

スプールはU状ではなく、V字状に緩やかにカーブしているタイプ。たぶんメインシャフト周辺に空間を作って放熱させる目論見と、スプール自体の強度を増すためだと思います(四角より丸い方がつぶれにくい……はず)。

ハンドルのツマミも頑張っている部分で、斜めに取り付けられています。高級フライリールのほとんどがスプールに対して垂直になっているのに対し、一定の角度をキープしたままツマミを回せるシュプリームは、かなりのアドバンテージ!!!!  なのか????

まぁ、設計者のこだわりポイントだったんでしょうね。

リムにはPFLUEGER SUPREME No.578の文字が読み取れます。

反対側には小さいですがMADE  IN  AKRON  U.S.A.およびパテントの表記があります。

 

ここまで書いてきて、昭和中期の家電イメージに触れずに終わるわけにもいかないと思い、ネットで見つけた拾い画像を載っけておきます。昭和にどっぷり浸かった人生を送った方々はもちろん、昭和40年代男の我々もどこか懐かしく感じてしまう、炊飯器がまさにシュプリームのイメージにぴったり(と思いませんか)。

黒いノブや取っ手とマットなアルミシルバーの組み合わせが、なんだかわからないけど、実になじむっ!なじむぞっ!

まさかのアメリカ人もびっくりの昭和家電との共通項。いやー、フライフィッシングって本当にシェケナベイベーですね。

貴重な3月の週末、出撃の皆様お気張りやす!
私は仕事です。それでは、また。