海フライリールの深い夜。 King of All.

ほい! 2月も月末になって、今週末には渓流ファン待望の解禁を迎えますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。渓流に行かなくなってウン十年以上のワタクシも、関係ないのにムスムズ〜ソワソワ〜してくるから、釣り師ってやつはいくつになっても……と思う男、saltwater-ffです。こんばんは。

まぁ、関東圏のバス釣りもプリスポーン時期を迎えているので、いよいよ春シーズンの開幕です。昨年に引き続き筋トレに励んでるので、今シーズンも私の出撃回数は大して変わらないと思いますが、それでも去年よりは釣りに行けるといいなーと思っています(昨春は休刊やら新しい企画の準備やら何やらで、正直釣りどころじゃなかったので)。

さてと、本日は先週の土曜日に横浜某所で秘密裏(?)に開催された『海フライリールのゆうべ 〜古き良き時代の巨人たちをパッカーンしちゃうの巻〜』という集まりに参加させていただいたので、その様子を差し支えない範囲でレポートさせていただこうと思います。

まずこの会を主宰するのは、ご存じビリー東さん。日本のフライフィッシングの世界では、知らない人の方が少ないくらいの超有名人であるとともに、著述家、翻訳家、編集者であり、米国FFF公認のマスター・インストラクターであり、マスター・インストラクターを認定できるガバナーでもあるという、ワンピースでいえば確実に四皇クラス! ビリビリの実を食べた全身ビリー人間(?)と思われます。

そんな東さんのご厚意で、今回の『海フライリールのゆうべ(以下略)』にお誘いいただきました。当日は横浜黄金町にフライリール大好き系フライマン、アジングとキビレにハマっている系フライマン、ワイン大好き社長系フライマン、おっぱい大好き塩っぱい系フライマンな方々が集い、貴重なパッカーンに酔いしれました。

まずはおなじみのエーベルのBGシリーズをご開帳。スティーブさんとは何度も一緒に釣りしたことがある東さん。貴重なエーベルの試作初号機のお話やカモカラー誕生秘話などを織り交ぜながら、エーベルBGシリーズがいかにしてこの形と機構に到達したか、時代を遡りながら会は進んでいきます。

近現代の海用フライリールの起源というか、フロリダ発祥の海用フライリールの原点であるフィン・ノール(フィン・ノア)のNo.3 TARPONをご開帳。Gar Wood Jr.によって考案されたフライリールで、誕生からゆうに半世紀以上が経つ海フライリール界の巨人です(しかも現役で使えてしまうのがすごい)。構造的にドラグやギアを収納するための段付きボディとしたことから、ウェディングケーキと呼ばれます。

東さんによると、このウェディングケーキが採用したドラグとクラッチがきっかけとなり、後に登場する各社の海用フライリールに搭載されるドラグとクラッチが、より頑丈に、より効果的に進歩してきたと推察できるとのこと。いやはや、エポックメイキングっすなー。

軸についての考察も興味深いものがありました(どんな考察かは内緒!)

しかし長いフライフィッシングの歴史において、フィン・ノール以前に海用フライリール(主にターポンやビルフィッシュ用)がなかったのか? という素朴な疑問が残ります。フライ関係のなんじゃかんじゃは、100年か200年前のイギリス人が先にやっちゃってたー!っていうケースが多いですからね。

そんな疑問にもしっかり答えを準備しているのが、さすがのビリー先生。PCの画面に見えるのはオーストラリアのアンドレアスというリールメーカーのもの。ぱっと見でフライリールっぽいですが、これはカジキ用のトローリングリールなんだそうです。実はこのアンドレアスが申請したパテントが、後の海用フライリールに結構深く関わってくるというお話でしたが、あんまりよく覚えていません(すみません!)。簡単に書くとハーディがアンドレアスのパテントを●●って、バッチバチのなんじゃかんじゃがあったらしいです。ブリテンやっぱこえーわ。

ここからは歴代シーマスターをご開帳。まずは初代から。コルク&ギアという要素は同じですが、フィン・ノールと違って段差を解消しています。フレームはインスプール+ピラー構造。

続いて2代目シーマスターをご開帳。フェイスプレートがツライチなので、スプール一体構造かと思いきや、センターロックを外すと別体になっています。

初代と2代目の中身比較。フレームの軽量化、コルク面の拡大、ギアの大型化などが顕著ですね。リールフットはどちらも削り出しの一体型。
他にもアルマイトの色味(ゴールドの薄さ濃さの具合)やグリスの使い分けなど、海フライリール好きにはヨダレずびっ!なお話がたくさん聞けましたよー。

注文していたプルドポークサンド(これがめちゃウマ)を食べるのに夢中になってしまい、シーマスターの3代目ご開帳の様子を撮り忘れてしまいました(またしてもすみません!)。が、3代目(左)とエーベルBGシリーズ(右)の中身を比較すると……インスプールとアウトスプールというフレームの違いが見られますね。他は……ぐ、偶然の……一致……だよね。 HAHAHA!

もしそうだったとしても!それまで釣りたくてもタックルがなくて釣ることが叶わなかった人達に、堅牢で安定した品質のリールを、ほどほどの価格で提供した結果、当時黎明期から草創期にあった海のフライフィッシングの可能性を大きく押し広げたと思います(とフォロー)。

ラストは近現代の海フライリールの歴史において、技術的進歩の極限ともいえるハッチのドラグ機構についてお勉強しました。アルミニウム削り出しのフレームとスプール、ドラグという機械的要素をコアユニットに集約。内部には世界最高峰の滑らかさを誇るルーロンを何層にも重ね、滑り出しのよさと強烈な制動力を両立させています。さらに密閉することでトラブルレス&メンテナンスフリーを実現しているという、まぁお世辞抜きに、海用フライリールとしての条件をすべて高次元でクリアしていると思います。

今回は特別にコアユニットのカットモデルを間近で見ることができました(この日のためにカットしたとか!?)。ピンボケなのは私のiPhone7の限界ということにしておいてください。

最後の最後はフィン・ノール手前左から、No.3(4段、1st. Owner / JOE BROOKS)、No.3(3段)、No.4(4段)、あと名前なんだっけか、ウェディングケーキを模したやつ(左上)を撮影させていただきました。お守りがわりにしたいと思います!

他にもサイエンティフィック・アングラーズ、カチーノ、フェンウィック・ワールドクラス、ビリー・ペイト、ティボー、チャールトン(マコー)なんかのお話も出ましたが、とてもじゃないですが全部はご紹介できません。
盛況だったし、東さんもまだまだ語り足りない感じだったので、またどこかで第2回が行われるんじゃないかと思います(個人的にも期待しています!)ちなみに当日私が持参した海王子と昔の炊飯器については、別にまた書きたいと思います。

それでは、また!