フォーセップは役立たず Forceps useless.

■■■ご注意■■■
この記事は2008年5月20日に書かれたものです。

現在の大海原的ななんやかんやと食い違いがあっても見逃してください。
旧大海原ブログの記事中で、いまだに閲覧数が多いため再掲載させていただきました。ではどうぞ。
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ううう。相変わらず体調がよろしくない男、saltwater-ffです、こんにちは。
なんといいますか、たぶん結構ヤバイのではないでしょうか。
夜空を見上げるたび、オレのことを思い出せ……。

さてと。

本日は「そろそろいい感じらしいし、今年から海フライやってみよっかなー」と思ったりされているフライフィッシャーマン&ウーマンな方へ向けた(!?)エントリーでございます。

海のフライフィッシングを始めると、それまで渓流や湖で常識だったことが通用しないケースが結構あります。それが新鮮な驚きだったり巧妙な落とし穴だったりするので、そのへんも含めて楽しんでいっちゃうのがいいと思うんですが、まぁ余計なトラブルに見舞われたくない方が多いと思うんですがどうですかソーデスカ。

たとえばベスト。

もうフライフィッシングっぽい格好といえばコレでしょう。ポケットがいっぱいの、でもってパンパンの、キツネだったり妖精だったり門鐘だったりするようなベストです。たぶんアナタも1着くらいはお持ちじゃないですかねぇ。

もちろん、私も何着か持ってますよ(とんと着なくなりましたが)。

最近のは機能性が高く、新素材やら防水ジッパーなんかが採用されていて、結構なお値段がするものが多くなってますが、まーこれが海においてはほとんど着る必要性がないんですな(バッグ派の方はこのへんの話題、スルーで)。

いやいやいや、訂正しますと着てもいいんですよ。ただ渓流や湖のように積極的に着る必然性がないというか……基本、暑いですからね。でもってライフジャケット(救命胴衣の類)を着るんで、あまりベストの機能性が活かされないのも現実です。だってほら、ベスト着た上からライジャケ着たら、ベストのポケットが使いにくいじゃないスか。

ルアーっぽいブランドからは、収納力を備えたライジャケも販売されてるんで、このタイプを選んでる方も多いと思います。

でもこの手のライジャケ+ベストを渓流には着ていかないでしょ?(着ている方がいらしたらスイマセン)。まぁ渓流でも湖でも救命胴衣の必要性はあると思いますがねー。

そういやT社の2008年カタログには試作のPFDベストが掲載されてましたっけ。

 

だんだん本筋からズレてきましたが、まぁ渓流や湖で着ていたベストを海で着るのは止めといたほうがいいですよーという余計なお世話です。

好奇心でちょっとだけかじってみるだけなのに、せっかくの一張羅が塩や血で汚れるのイヤじゃないですか?(海の汚れはそう簡単には落ちませんぜダンナ)

 

でね、

毎度ながら「あちゃー」と思ってしまうのがフォーセップですよ。

すでに語っちゃってる人いませんか? だってほら、フォーセップ好きなフライフィッシャーマンの方って多いじゃないですか。

ウーマンの方は知らないけど、マンな方で「ワシのフォーセップは、さる国立病院の外科医師、まぁワシの大学時代の後輩なんだがネ、彼とザギンで飲んだときに先週行った八ヶ岳の渓の話になったんだが、ワシの巻いたランズパティキュラに良型のイワナが食ってネ。それを外した後に長年連れ添ったフォーセップを流してしまってな、難儀していると言ったら翌々日に届いた、モノホンの医療用なんじゃがナ。これまた噛み合わせの精度がすこぶるよろしくてナ……」

などと小一時間。「はじまっちゃったー!」と思った経験があったりしませんか。

 

これが23歳OLカナコ(仮名)さんが「あ~ん、釣れちゃったぁ~! だれかヤマメちゃんからフライ外してほし~の☆」とか上目使いで言われちゃったら、フォーセップ使って速攻3秒で外してあげちゃいますね。

で、そんな華麗なフォーセップさばきに23歳OLカナコは「この人なら私のハートに刺さったマエカレの102Y#17も一瞬で抜き去ってくれるかも~?私、アナタのバーブレスなら喜んで刺さっちゃう!あぁん!!」

 

そんな思い入れがあろうとなかろうと、海のフライフィッシングにおいてフォーセップはほぼ役立たずです。フックを外すのにフォーセップじゃ華奢というか脆弱なのです。しかもフォーセップってハサミのように指を輪の中に入れて使うでしょ。あれがドボルザークヤバイ。フライを外そうとしてフックを挟んだら魚が暴れてビタンビタン! 当然フォーセップも指もビタンビタンのバキンバキン。フォーセップでおぉ絶句、オーザック食べるボブ・サップ。

 

メバルやアジなんかは別にいいんですけどね。シーバスも40cm超えてくるとフォーセップには荷が重過ぎる気がします。ま、過去には120cmくらいのシイラからフライを外すのにフォーセップで挑んで、指バキンバキンになった人もいますね。あぁ、あのころの私は本当に世間知らずでした……。

 

「今年から海やってみようかなー」とお考えの方は、安物でいいからプライヤーを1丁用意しちゃってください。ホームセンターや100円ショップで売ってるので十分です。サビるけど、数千円~数万円もするような専用品は、海クレイジー度が100%近くになってから買えばOKです。

 

あとね、

ピンオンリールも海じゃ役不足っすよ。まずラインクリッパーじゃ20lbとか30lbとかのフロロリーダー切れません。つか、歯が欠けちゃう。よってクリッパー等をぶら下げるピンオンリールも不要。つか、だいたいすぐに錆びて伸ばしたら巻き取れなくなって壊れます。

リーダーはプライヤーで切断しましょう。つーことで、安物でもちゃんと切れるプライヤーを選びましょう。

 

話のついでですが、海でいうリーダーってのは渓流や湖でいうところのテーパーリーダーを指すのではないです。テーパーリーダー(を使う場合)も含めて、フライラインとフライの間に接続されるラインのことを総称してリーダーと呼ぶのでご注意を。

おまけに書くと、ティペットの先に付くリーダーもあります。「え、ティペットの先はフライじゃないの?」と思っちゃうでしょう? まー、時と場合によってそういうケースもあるということだけ覚えておくといいんじゃないでしょうかね。

 

 

「いやー、最近老眼が進んじゃって……イブにプールでライズ待ってたんだけど、16番のカディス結ぶのに10分もかかっちゃったよ……せっかく尺ヤマメのライズが終わって、シンコしか釣れなかったヨ」

ライズ待ちするんなら先に結んどけとかそういう大人気ない反応はこの際おいといて。
大丈夫。そこに尺ヤマメなんていません。海なら細くても12lbとか14lbとかです。海ならまだまだ老眼鏡要らず!

 

 

「さすがに#32なんて巻けなくなってきたヨ。肩こっちゃうからサー、#24、いや#22が限界だネ。ミッジ? 好きだけどネー。昔は2月の声を聞いたら長良川へ飛んで行ったもんさ……」

ルーペ使えとか、コマーシャルフライ買えとかそういうクールな意見はこの際おいといて。

大丈夫。だいたい魚より釣り師のほうが多いです。海なら普通に#2とか#1/0とかのフックに巻きます。#8/0とかに巻くこともあります。一般的には小さくしても#12くらいまでです。ルーペの出番なんぞありません。現役の夢が持続しちゃうのです。

 

 

「余計なお世話なんだがネー」という声が聞こえてきますが、どんどん行きましょう。
渓流→海で置き換わるアイテムとか出来事とか一覧。

●銘木のランディングネット→磯ダモ(柄5~6m、枠60cm以上推奨)
●魚に触れる手→フィッシュグリップ(ボガとかオーシャンとか)
●フロータント各種→接着剤各種
●フライボックス→タッパーとかジップロック(袋)
●ブラスやニッケルシルバー好き→アルミ、ステンレスフェチへ
●クリック→ディスク
●ウェーディングシューズ→サンダル(もしくは磯スパイク)
●ハッチに合わせる→潮汐に合わせる
●天然、稚魚放流、成魚放流などの判定→釣れればほぼ天然
●禁漁期間がある→禁漁期間はないけどベストシーズンでも時化強制禁漁になる
●おおむね春~初夏がアツイ!→おおむね秋~初冬がアツイ!
●イブニングに燃える!→朝も昼も夕も夜も燃える!
●ハマりすぎると円満家庭に危機が→ハマりすぎると生命の危機が
●ブドウムシ→アオイソ
●スズメバチ→磯ブヨ
●マムシ→アカエイ
●クマ→サメ

 

ボヤキ?私がしているのはボヤキ?わからないわからないわからない。

 

「でネ、その八ヶ岳のマイホームリバーにはだネェ、い ・ る ・ の ・ だ ・ よ ・! 大ヤマメが!! 私はかれこれ5年狙っとるが……」

 

そのヤマメ、もう昇天してまんがな。

つーか、まだ話続いてたのね~。画像もないのに相変わらず長くてサーセン。
ふとんにくるまって寝ます。